ラー油の新たな可能性を引き出すためラー油スイーツを作ることにした。
ぼくの青春は、ラー油との青春!これからその青春に決着を着けてやるッ!
料理の味付けとして加えればピリッとした辛さとコクが味蕾を刺激し、数々の中毒者が後を絶たない魅惑の調味料ラー油。筆者も例に漏れずラー油中毒者の一人であり、定番のラーメンやチャーハン、カレーはもちろんのこと、ポテトチップスのりしお味、納豆オムレツ、豚しゃぶのタレ、冷やし中華などありとあらゆる料理とのマリアージュに酔いしれていた。
これは自己流豚しゃぶのタレ。ぽん酢、ごま油、ラー油、レモン汁、一味を混ぜ合わせて食べる。飛ぶぞ。
ラー油に魅了され、今ではマイラー油を携帯する始末。しかし、ラー油と生活を共にするに連れて、次第に私はある思いを抱くようになったのである。
ラー油はもっとやれる
私はラー油に心酔しながらも、そのパブリックイメージを変容させたいと考えるようになった。というのも、我々ラー油中毒者、いや、ラー油に限らず調味料ガチ勢は誰もが味わうこんな体験がある。
そう、この言葉。
時に家族から、時に友人から注意、もしくはドン引きされた経験はないだろうか?こんなの、周りからすれば些細な一言だったのかもしれない。しかし、その体験はラー油中毒者にとって呪いとなり、誰かと食事にいけば席を立った瞬間を見計らってラー油を注ぐ有り様だ。まるで万引き犯のように。これでは使われるラー油だって良い気持ちはしないはず。
そう、私はいつだってラー油に救われてきた。それなのに、こんな気持ちでラー油と向き合って良いのか・・・いや、良いはずがない・・・何か、何か私にできることはないだろうか・・・
そうだ、ラー油のスイーツを作ろう。
というわけでラー油スイーツを作ることにした。これで健康に悪いというイメージが拭えるのかと言われれば些か疑問ではあるのだが時に友人と、はたまた恋人と優雅にラー油スイーツを味わえばきっとそういった世間体も薄れるはず・・・そしてラー油の新たな可能性を引き出せば、更なるラー油人口増加も望めるだろう。いつしか定番のスイーツになれば、ラー油のコラボカフェ、コラボレストランと言った展望もあるかもしれない。もう、ラーメン屋の片隅でギトギトになっているだけの調味料とは言わせない。調味料界のスターダムへと登りつめる君の姿を、私は見たいのだ。
親しみやすいようラー油のイメージキャラクターを作ってみた。他人と群れず強気な性格だが面倒見が良いので隠れファンも多い。
ラー油スイーツを作ろう!
さっそくだが筆者はスイーツを作った経験がほぼ0である。幼少の頃親とケーキやらドーナツやらを作った記憶は朧気にはあるのだが、当然レシピなど覚えているはずもない。そして中々の不器用である。だが、ここで諦めてしまえば所詮その程度の愛なのだ。立ち塞がる壁にも物怖じせず、私は買い出しへと向かった。
家にスイーツを作るための材料がほとんどなかったのでスーパー、100均、電気屋でもろもろ買ってきた。全部で8000円ぐらいした。
あと途中で足りなくなったら困るのでこれも。
無類のラー油好きである私もこの形態のラー油は見たことがなかったので武者震いがした。
さて、材料が揃ったところでまずは君にトップバッターを飾ってもらおう。
①ドーナツ
今や街中を歩けばドーナツに当たると言っても過言ではない定番スイーツだ。ドーナツの生地自体をラー油味にしてしまうのも良いが、揚げたところで普通のドーナツの見た目になってしまう予感がした。それならばいちご、チョコレートのようにラー油ソースも作ってみよう。
砂糖、生しょうが、水、ガーリック、みりんを鍋で煮詰め、そこにラー油を加えてみる。
某ハイボールの人のようだ。
ちなみに何故この材料で作ろうとしたかは後述するが、みりんを入れたせいかいくら煮詰めても水っぽかったので片栗粉も追加した。しかしとろみはついたもののドーナツのソースとしては何かが足りない・・・
ん?
こ、これは・・・!
濃厚ほろにが塩キャラメル
参戦!!
\ドォン/
その辺の飴と目が合ってしまったため急遽飴を投入してみる。
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ソースっぽいもの完成。途中で投入した塩キャラメルキャンディが功を成したのか意外にもラー油の辛さと相性が良い。この調子でドーナツも作っていく。
ナチュラルにラー油入れ忘れたので混ぜてる最中に投入。
オレンジ色になった。
生地のまま食べる野望をまだ捨てていない。
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完成。予想通りと言ったところか、見た目はごく普通のドーナツである。しかし、上品な甘さと共にラー油のピリッとした辛さがある。
そして先ほどのラー油ソースと合わせて食べてみる。ケンタッキーのビスケットのような味わいだった。キャラメルはラー油と相性が良いのかもしれない。
②団子
スイーツは洋菓子だけではない。和菓子の中にもラー油と調和するものがあるだろう。そう考えた私は団子に目を付けた。団子と言っても今回は団子そのものではなく、みたらし団子のみたらし部分をラー油味にしていく。
少し不恰好だが団子の形になった。これを5分ほど鍋で茹でる。
バラけさせようとしても一ヶ所に集まりだすためもしかしたらだんご12兄弟なのかもしれない。12人だとカナディアンフットボールというスポーツに参加できるらしいのだが筆者はよく知らない。
茹で上がりはこんな感じ。このままでも良いのだが香ばしさも欲しかったので少し表面を焼き上げた。続いてみたらしのタレを作っていく。
通常のタレは醤油、砂糖、水、片栗粉の4つを使うのだが醤油の部分をラー油に変えてみた。以前ラー油と醤油を混ぜたことがあるのだが驚くべきほど合わなかったという記憶があるので醤油は足さなかった。しかし、この量のラー油を投入して本当に大丈夫なのだろうか・・・
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完成。見た目はまさしくみたらし団子のラー油バージョンといったところで中々美味しそうだ。さっそく口に入れてみる。
うまっtttかっっっっっらッッッッッ!!!!
なんだこれ。優しい甘さが広がったかと思いきやその直後に喉が焼かれる。1、2話で萌えアニメだと思わせておきながら3話で主要人物が死ぬかのような形勢一変ぶりに筆者も驚きを隠せない。いや、これはラー油の分量を見誤った私のミスだ。もしくはもう少し砂糖を足せば良かったのかもしれない。しかし団子とラー油自体は合っている気がする。まさしく普段料理をしない人がアレンジレシピに手を出したが故の失敗である。だが改善すれば本当に甘味処で売っていても違和感はない。これをみたらしラー油プロトタイプとして今後も再挑戦したい一品だった。
③マカロン
さて、企画にあるまじき失敗をしてしまった私は更なる難関に挑むことになる。マカロンのガナッシュの部分をラー油味にすれば美味しいのではないか。しかし、マカロン自体相当な難易度を誇るスイーツである。できる限り良い状態にはしたいが最初から完璧に作るのは至難の業である。数々の不安要素が頭を過るが思い付いてしまったものは仕方ない。脳内から聞こえてくる様々な囁きを無視し私はマカロン作りを強行した。
アーモンドパウダーをふるいにかける工程、筋トレに応用できそうな気がする。
ラー油色にするために赤と黄色の食紅を加えていく。ちなみにこの段階で食紅の使い方を若干間違えている。
物凄いにんじん。
角が立つまで混ぜたら先ほどのアーモンドパウダーを混ぜマカロナージュしていく。このマカロナージュこそがマカロン最大の難関と言われているが、とりあえずいくつか参考に見た動画の通りにやってみよう。脳内BGMは「愛とときめきのマカロナージュ」(このタイトルがわかる方は私と友達になりましょう)
ハァッ、ハァッ
ハァッ・・・ハァッ・・・・
ハァッ・・・!ハァッ・・・!!
終わらねえ
マカロン、完全に舐めていた。とてつもない時間をかけて滑らかな生地になるのなら今頃サライが聞こえてきてもおかしくはないが、努力の方向性を間違えたのかいつまで立っても滑らかにはならず、ただ腕に疲労感が蓄積されていくだけだった。もしかするとメレンゲ段階でもっと混ぜ合わせておくべきだったのかもしれないが今さらタイムスリップはできない。脳内BGMもサライも誰も私の味方をしてくれない事実を噛み締め、やむを得ず私は次のステップへ進むことにした。人生とはうまくいかないことの連続だが、それでも前に進まなければならないのである。
ハンバーグのタネ
絞り袋に入れてみたのだが案の定袋に貼り付いてしまい、ベトベトになりながらなんとか錬成した。
続いてガナッシュを作る。ガナッシュにもいろいろ種類はあるのだが、今回は一番相性が良さそうなバニラバタークリームを作ってそこにラー油を投入していこうと思う。同じ過ちは犯さないようラー油の分量も慎重に。
良い感じの色合いだ。
ガナッシュが完成したところで予め乾燥させておいたマカロン生地をオーブンへ。オーブンの中で爆発しないか固唾を飲んで見守る。
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わりとそのまんまだった。
見た目についていろいろ思うところはあるがまあとりあえず焼けてるっぽいのでヨシ。
気が動転していたのか絶対この絞り方じゃないだろうけど台所初心者なので大目に見てほしい。
とりあえずこの上にマカロンを乗せてっと・・・
あ
というわけでマカロンの完成。店で売るにはあまりにも見苦しい見た目になってしまったがプロでも難しいと言われるスイーツ、初心者でも完璧にできるなどと言う考えが烏滸がましいのである。さっそく味見をしてみよう。
う、うまい・・・
はっきり言おう。今まで作ったどのスイーツよりもずば抜けて美味しい。見た目こそ悪いがマカロンはお店で売っているマカロンの味になっていたし、何よりバタークリームとラー油の相性が抜群だった。これ、先ほど作ったドーナツにかけても美味しいと思う。というかこれからラー油スイーツを作っていく上でかなり役立つものを発明してしまったのではないだろうか。
バニラバターラー油クリーム。冷蔵庫で放置していたら口金部分が固まり袋の右下の方から出てくるようになってしまった。
説明書はちゃんと読もう
④パフェ
ラー油スイーツ計画もいよいよ大詰め。ラストを飾るのは"完璧"を意味するスイーツ、パフェ。ちなみに筆者はパフェにちなんだキャラクターが推しになる率が高いため、愛着も強いスイーツの1つだ。
こういうタイプのふた、一発で開いたことがない。
明らかに"それ"ではないものにラー油を注ぎ込む行為も慣れたものだ。
先ほどの食紅も加え(あんまりオレンジにならなかったが)生クリームは完成。続いてパフェの具材を入れていくのだが今回は例のあれを使ってみようと思う。
え?邪道?S&Bラー油縛りとは言った覚えはない。食べるラー油、シリアル、生クリームの順で入れていく。
これ普通に机の上で撮れば良かったな
そして上にバニラアイスを乗せれば・・・
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完成。申し訳程度の飾りとしてアラザン、アーモンド、くるみ、レーズンを入れた。パフェは果物を乗せるケースが多いのだがラー油と果物は怖くて挑戦できなかった。味は意外にもラー油と生クリームが調和していて美味しかったしシリアルも良いスパイスになっていた。食べるラー油部分にもう少し甘さを加えればもっと良くなったと思うのだがラー油マカロンに続いてラー油パフェ、新しいスイーツとしてかなり良いかもしれない。
まとめ
スイーツを作った経験がほぼ0のためアクシデントも多発したが意外にもラー油と合うスイーツが多かった。恐らくプロが作れば実際のお店でも販売できるかもしれないし、再びラー油ブームが訪れるかもしれない。その際は是非とも私のような素人が作ったものではない、プロの味を堪能してみたいものだ。そして、私は冒頭でラー油のイメージを払拭したいと言ったのだが、結局のところ自分の心が負けていたら、いつまでたってもラー油を心の底から楽しむことなんてできないのである。それはラー油だけではない、料理に醤油やソース、一味などをドバドバかけて引かれた経験がある者も、きっと同じ気持ちを抱えて生きていることだろう。
だが、
自分が好きなものに、罪悪感を抱えて生きていく必要はないのである。
そりゃあ好きなものが犯罪行為になってしまうとか、他人に迷惑をかけてしまうとかなら考えた方がいいとは思うが誰にも迷惑をかけないものなら思う存分楽しむ権利はあるのだ。ラー油だって醤油だって好きなだけかければ良いし、どんな食べ物にかけたっていいのだ。それがあなたの生き方なのだから。最後に私の好きなキャラクターの名言を紹介して本記事を締めようと思う。
「誰になんて言われてもすきなものはすき!」
おまけ
ドーナツを作る際に使用したソース、実はこんな前日譚があった。
おわかりいただけただろうか
私はあろうことか、ジンジャーエールの要領で炭酸ラー油を錬成しようとしたことがありその際に作ったシロップを元にドーナツのソースを作ったのである。(なお炭酸ラー油は当然水と油なので全然調和しなかった。義務教育からやり直せ)
ちなみにこのラー油スイーツ計画、親にバレた時はガチで顰蹙を買ったのだが日に日に応援してくれるようになった。熱意が人を変えることもあるのだなぁ
終わり